建物インスペクションで家屋の弱点が浮き彫りに!
雰囲気は抜群の好物件!でも耐震性に大きな問題が…
戸建てを検討していたKさん。この物件は築25年ながら新築時に凝った趣向で設計され、とても雰囲気がよい物件で、様々な物件を見た中でもKさんがもっとも気に入った物件でした。築20年を超えるので、住宅ローン減税を利用するには耐震基準適合証明書が必要です。Kさんは購入を決定する前にインスペクションを実施しました。
ところが耐震診断の結果は「0.39」。現行の耐震基準に遠く及びません。雨もれや蟻害も発見され、思ったよりも多くの改修費用がかかることが判明しました。
一番の問題は壁の配置バランスの悪さです。図面の左下が問題箇所なのですが、耐力壁 がまったくありません。この物件の耐震性を改善するためには、この物件の大きな特徴であり、Kさんが特に気に入っていた1階リビングのコーナー出窓を耐力壁にしなければならないことがわかり、残念ながらこの物件の購入は見合わせることになりました。
※耐力壁…地震時の横揺れや台風の時の横からの強風など横からの力を支える壁のこと。壁の材質 や筋交いなどの組み合わせで強さが変わります。
2件目も壁の配置バランスに問題が!でも少しの改修で是正が可能と判明しました。
気を取り直してKさんが次に絞り込んだ物件も、建物インスペクションの結果、壁の配置バランスが悪いことが判明。しかし、この物件は1件目と違い、2ヶ所ほど壁補強を行えば現行基準を満たすことができることがわかり、最終的にKさんはこの物件を購入することに決めました。
新耐震でも耐震性に問題のある家屋は多いです。
木造戸建を検討する際には必ず建物インスペクションを実施しましょう。
Kさんがたまたま耐震性の悪い物件に遭遇したのではなく、特に新耐震(昭和56年6月以降)の物件は、壁の配置バランスに問題がある物件が多いのです。本来であれば2件目のように少し改修工事を行うだけで改善できるケースが多いのですが、稀に1件目のように、その物件の持ち味を根底からひっくり返さないといけない物件も存在します。
建物性能は物件内覧時の見た目の雰囲気では判断できません。木造戸建てを検討する際には必ず建築士による建物インスペクションを実施するようにしましょう。