家庭内LANの話
IT関連技術の進歩が目覚ましいですね。生活がどんどん便利になっています。
IT端末で家電などをコントロールする「スマートホーム」も実用レベルになっています。
消し忘れた照明を外から落としたり、帰宅前に予めエアコンで部屋を冷やしておいたり、これまで家の中でしかできなかったことがどんどん外からコントロールできるようになっています。
また、amazonECHOに見られるように、声でコントロールする技術もそんなにお金をかけなくても設置することができるようになっています。
さて本題ですが、これからも発展していくIOTを活用するのに必要なのですが、一般の家庭では備わっていない設備があります。
それはLANケーブルと電源です。
無線LANの技術も進歩しているので、無理やり無線化している方が多いと思うのですが、必要とされるデータ量が増えると、どうも無線LANでは心もとない。
※現時点では有線LANの方が無線LANよりも圧倒的に通信速度が速いです。
光回線などプロバイダーが高速と謳っているサービスを使っていても、思ったほどサクサク利用できない、というのは、家庭内LAN環境が適切でなく、そのほとんどが有線LANの配線が原因です。
例えば、私の自宅は木造3階建てなのですが、1階に無線LANルーターを置いているので、2階は何とか届くのですが、3階までは電波が届きません。
wifiを中継する機材もあるのですが、遠いとどうにも速度が出ません。
3階の部屋でスマホで映画を見ようにも、途切れ途切れで見れたもんじゃありません。
配線計画なしのwifi頼みでは、今後のIOTの恩恵を活用しきれないように思えます。
続いて電源です。
部屋のコンセントっておおよそ微妙な位置に設置されていますよね。
壁のコンセントから延長コードで必要な場所まで引っ張ると、そのラインが邪魔になりますし、そもそも数が足りないから、タコ足配線したくなるのも無理はありません。
家庭内で電源を使う機器が増えているのに、コンセントの数が増えていない、というミスマッチです。
今の住環境は少なくともLAN配線と電源が不適合ということです。
ただ、IT関連の技術が今後どの方向に進んでいくかわからないので、現時点の技術で決め打ちにしてしまうのも不安です。(おそらく無線化の方向だと思うのですが…)
下記は恐らく向こう10年間は活用できそうな個人的なアドバイスです。
1 まずはルーターの位置を決める
ルーターはインターネットの出入り口になる機械です。
ルーター周りには配線が集中しますのでなるべく隠したいところですが、ネット環境が不調な場合にルーターを再起動する必要もあることから、アクセスが悪いところに設置してしまうと、かなり不便です。
また、ルーターはかなり熱を持つので、通気が良い場所へ設置した方が良いです。
ルーターの設置場所はかなり重要です。
家を買ったら(あるいは引っ越ししたら)、インターネットの配線(光ケーブルなど)がどこに出てくるのかを確認し、家具の配置と合わせてルーターの設置場所を決めましょう。
ルーターの設置位置を決めておかないと、ネット回線を開ける工事の時に、適当な位置にケーブルを出されて、使い勝手が悪くなることも考えられます。
(だいたい長めにケーブルを出す業者が多いのですが、この長いケーブルが配線ごちゃごちゃの原因になります)
2 続いてハブの位置を決める
ルーターの設置位置が決まったら、次は配線の計画です。
有線LANを配線するときにハブという機械を使います。
このハブ周りにはLANケーブルが集まるので配線がごちゃごちゃしてしまいがちです。
特にリビングには、テレビ・レコーダー・パソコン・ゲーム機など有線LANを繋げたい機器は意外と多いので、必要な配線の本数とおおよその長さを決めて、ハブの設置位置を決めます。
ハブの設置位置は計画的に決めないと、そのまま配線ごちゃごちゃの原因となります。
3 LANケーブルはその時点で最速のものにする
LANケーブルにも規格があり、通信速度が変わります。
LANケーブルにはCAT5とかCAT6とか書かれています。(数字が大きいものが高速です)
CAT5のLANケーブルの通信速度は100Mbpsですが、CAT7ののLANケーブルの通信速度はなんと10Gbpsもあります。
屋内に配線したLANケーブルはめったにダメになったりしないので、新設する時はその時の最速のものを設置し、以降は設置されたものと同じ規格のものを利用する方が良いです。
※ルーターからの配線に遅い規格を使ってしまうと、その家のLAN全体が遅い環境になってしまいます。現時点では、安いからと言ってCAT5のケーブルを使うのはお勧めできません。
ちなみにLANケーブルは簡単に自作できます。長さも自由に設定できるので、リビング周りを配線するくらい本数があるときは自作がお勧めです。
※自作の時に使うテスターは、家庭内LANで不具合が発生した場合の原因の特定にも役に立ちます。
4 リフォームのついでに各部屋へ配線用のルートを確保する
新築時には屋内配線用に壁の中や天井裏にフレキシブルな配線管を通すことが多いです。既存のものが流用できればいいのですが、配線用のルートがない場合は新設する必要があります。(むき出しのLAN配線はあまりお勧めできません)
家を買ってリフォームする場合は、リフォーム前に配線ルートの存在を確認してもらって、なければついでに頼むことをお勧めします。
ちなみに、各部屋には無線LANの電波を中継して繋ぐという方法もあります。
ですが中継を経由するごとに通信速度が大幅に低下してしまうので、全部屋に有線LANを配線できなくても、戸建ての場合は各階に1か所は配線するなど、要所要所に配線しておくとかなり快適な環境になります。
現時点で無線LANの性能はあまり過信しない方が良いと思います。
5 コンセントボックスの位置を変える
これもリフォームを行うならついでに、という提案です。
特にクロスの張替えを行うなら、せっかくなのでコンセントボックスの位置はよく考えた方が良いです。
もちろん電源の移設や新設にはコストがかかりますが、お部屋のレイアウトにこだわりたい人は、電源のルートを考慮するとかなり配線がすっきりします。
6 電源タップは床に置かず壁につける
電源タップは「掃除ができる場所への設置」が絶対要件です。
配線がごちゃごちゃしているからといって収納の裏側へ押し込んではいけません。最悪家事の原因になります。
電源タップは挿し口が上に向くように床に置かれることが多いのですが、可能であれば壁に貼り付けた方が埃のリスクが軽減できます。
(電源を床に置くので配線がごちゃごちゃになります。壁に掛けると思った以上に配線を整理しやすいですよ)
機器トラブルで再起動のために電源の抜き差しが必要となるケースも多いので、電源タップはアクセスしやすい場所に設置するのが基本です。
この記事を書いたきっかけは、先日我が家のリビングの大掃除をしたからです。
リビングには大きな壁面収納があり、そこにテレビを設置しているのですが、かなり配線がごちゃごちゃでした。
その配線を壁面収納の裏に無理やり押し込んでいたのですが、そろそろ掃除もしないと大変だな、と一念発起し、数年間隠された壁面収納の裏を開けたのですが…。
埃の山もさることながら、今までよく火事にならなかったと思うような状態の電源タップに思わず悲鳴を上げました。
ごちゃごちゃのケーブルを整理しながら、そういえば最初から計画的に配線しておけば良かったんじゃないか?せめてルーターの設置位置くらい考えればよかったな、とか思うところがたくさんあって、私の失敗談がお役に立てばと思った次第です。
※ちなみに私の実家は平成元年築なのですが、モールで無理やり配線しています。
インターネットがなかった時代の建物は、きちんと配線工事を頼んだ方が良いと思います。
これから家電がどんどんネットと繋がる時代になります。
家電が不調になった時に、その家電が悪いのか、ネット環境が悪いのか、判別が難しくなっていきます。
これを機に家庭内LAN環境はご自身で構築し、設置状況を把握しておくことをお勧めします。
リニュアル仲介の稲瀬でした。