海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 17 【ローン正式審査~決済編 6/6】
「海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し」シリーズ。今回は、「D.決済(=融資実行=所有権移転=物件引渡=売買残代金支払い)」についてご説明したいと思います。
決済日の手続きが無事終われば、買った家の鍵を受け取り、正式に自分の所有物となります。まず、手続きを行なう場所、出席者、手続きの内容、を整理してみましょう。
■決済を行なう場所
決済を行なう場所は、買主が指定した金融機関で行ないます。通常は、住宅ローンを利用する銀行を、決済場所として指定します。例えば、A銀行A支店で住宅ローンを組む場合には、同時にA銀行A支店で口座を開設することになります。決済日には、そこに融資が振り込まれるので、通常はそこを決済場所として指定します。
決済をするには、金融機関と法務局が開いていないといけませんので、平日に行ないます。後述の手続きを一日で終わらせなければいけないので、それに要する時間や、万が一間違いがあった時にリカバリーできるよう、午前中に手続きを開始することが多いです(10時頃開始が多いです)。
平日に手続きを行なう関係上、お仕事の合間に抜け出したり、半休をとったり、ということも多いので、「A銀行A支店に融資が入るが、決済は職場に近いA銀行B支店」とするケースも多いです。
■出席者
決済日には、下記の関係者が出席します。
・売主、買主。
・売主、買主の仲介会社。
・登記を担当する司法書士
・売主の抵当権の抵当権者(必ず出席するわけではありません。)
■手続きの内容
決済日には、以下の手続きを行ないます。
・融資実行
・売買残代金及び固定資産税等の日割清算金の支払い(振込)
※買主は、売買契約時に、売主に対して手付金を支払っていますので、残りを支払います。
・諸経費の支払い(登記費用、仲介手数料等)
・耐震基準適合証明書(原本)の受け渡し。(登録免許税の軽減適用に必要な場合のみ)
・買主の所有権移転登記、抵当権設定登記
・売主の抵当権抹消登記(抵当権の設定がある場合)、売主の住所変更登記(登記簿と実際
の住所とで相違がある場合)
・鍵の引渡し
大枠の流れとしては、以下のように進みます。
1.司法書士による登記関係書類の確認と作成。
問題なく全ての登記ができることが確認できたら、司法書士から銀行に融資実行の指示。(融資が口座に入るまで、結構時間がかかります)
2.上述の売買残代金や諸費用等の払出・振込伝票等の作成。
3.【重要】売買残代金等の着金確認、諸費用等の支払い。
4.鍵の引渡し。
(ここまで手続きを行なって解散)
5.その後、司法書士が、上述の売主・買主の登記一式の手続き。
(後日、登記完了後の権利証等が買主の手元に到着。)
所要時間は、上記1~解散までで、1.5~2時間程度です。書類や伝票を書いたりする手続き自体は直ぐに終わるのですが、お金が出てくるまでの待ち時間が結構かかります。
特に、月末や、五十日(ごとうび)のように、銀行が混雑する日の場合、時間がかかる傾向にあります。
海外居住者の方の場合(決済時点で、まだ住所が赴任先にある場合)、特有の注意点があります。上述の【重要】と書いた、売買残代金等の着金確認のところが、国内居住者の方であれば問題になることはないのですが、住所が海外にある場合には、事前準備をしておかないと、大問題になり得ます。
売買残代金の着金確認というのは、買主が売主の口座に送金する手続きをしたものが、売主の口座に着金したか?を確認します。買った家に抵当権が設定されている場合(=売主が借金をしている)、売主は、買主から振り込まれた売買代金を使って、借金を完済することが殆どです。借金が完済されたことが確認できて、ようやく抵当権が抹消されることになります。この抵当権が抹消されるまえに、売主から買主に所有権を移転するわけにはいかないのです(手続き上はできるのですが、普通は有り得ない話なので割愛します。)。
私も過去に、決済の前日になって銀行から「海外居住者の方の場合、決済日に振込手続きをして頂いても、送金先への着金が翌営業日になってしまいます。」と言われ、大慌てしたことがありました。もし翌営業日の着金となってしまったら、決済日に抵当権を抹消することができず、所有権移転ができなくなってしまうからです。この件については、振込ではなく、振込む予定の金額を一度現金で出金して(札束がドンと出てきました)、それを売主の口座に入金するという手続きをとることで、無事手続きができることになりましたが、銀行といえども、常に何千万円のお金がそこにあるわけではないので、場合によってはその金額が準備できないということも起こり得たかもしれません。私は、てっきり「お金を振り込むといっても、データ上の数字が動くだけだから、別に現金がなくてもいいだろう。」と考えていましたが、そこは銀行なりの理屈があるようです。この決済に出席した売主の抵当権者(=金融機関)の方も、「なぜ翌日着金になるのか?」と分からない様子でしたので、もしかしたら、今回の銀行独自のルールかもしれませんが、念の為に、融資を受ける銀行に確認をしておいた方がいいでしょう。
その他、細かい話ですが、銀行の振込手数料は他行あてだと756~864円が一般的ですが、同じ銀行でも、海外居住者の方の場合は、手数料が高くなる(3,000円程度)ようです。
リニュアル仲介では、このようなことについても適切にアドバイスさせて頂きながら、お客様のお住まい探しをお手伝いしております。住宅購入を検討の方は是非ご相談下さい。
リニュアル仲介本部パイロット店 エージェント石川でした。
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