2040年には百貨店が4割減って大学が4分の1に?!
内閣府がまとめた「地域の経済2016―人口減少問題の克服―」という資料があります。
http://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr16/chr16_index-pdf.html
その中に「需要密度と立地可能なサービス」という概念がまとめられていて、非常に面白い資料でしたのでご紹介します。
経済活動にとって人口は重要です。サービス業はある程度の顧客数が見込める場所でなければ出店を維持できません。
国土交通省は3大都市圏を除く市町村を前提とした、サービス別に必要となる需要規模を計算。生活に必要となる飲食料品の小売店、飲食店、郵便局、一般診療所等は大体500人集まれば80%の確率で立地が可能であるとしています。
介護老人福祉施設の場合は、500人の需要で50%が立地可能な確率、80%には4500人が必要です。
百貨店などの大型商業施設は同じように80%の確率で立地可能となるには、約27万5000人の需要規模・人口規模が必要となります。
国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口は2010年の1億2805万7000人から、30年後の2040年には1億727万6000人まで、約2100万人減少すると推計しています(日本の地域別将来推計人口=平成25年3月推計)。
その数値を元に、2010年時点では店舗が立地できる確率50%以上となっている1229自治体のうち、2040年の人口規模になると、その確率が50%を切ってしまう市町村の割合が下表です(3大都市圏を除く)。
大きな需要を必要とする百貨店は、現在50%以上の存在確率の人口規模がある42自治体のうち、38.1%の16市町村では立地できない水準になるとしています。(百貨店閉鎖のニュースはこれからも続くのでしょう)
同様に大学は、現在159自治体が50%以上の存在確率となっていますが、そのうち24.5%の39自治体が立地維持には厳しい状態に。大学全入時代の到来ですね。
ハンバーガー店は現在497市町村が50%以上の存在水準ですが、そのうちの22.7%にあたる113自治体では閉店あるいは新規開店が望めないレベルに。映画館は2010年時点より19.5%、ショッピングセンターも同時点で比べ、16.6%の自治体で店舗維持が難しい水準となります。
さて、これらの情報をどう活かすか、が重要です。「へえ~大変だなぁ~」で終わらせてはいけません。このニュースは重要な意味を含んでいます。それは、日本人はこれから「住む街を選ばなければならない」、自治体は「捨てる街を選ばなければならない」時代になるということです。
ショッピングセンターが近いから好立地という謳い文句に引っかかって郊外の物件を買ってはいけないのです。ショッピングセンターは民間企業なので商売が成立しなくなったら撤退します。存続できるかどうかは人口によるのです。
これから家を買う方は、検討地域の人口動態をシビアに検証する必要があります。これまでの常識は全く通用しない時代に突入しています。事業者の甘言や雰囲気に飲まれないよう、正しい情報を得ることが大切です。
リニュアル仲介の稲瀬でした。
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