逃れられない税金と責任。売れない不動産の行く末とは?

ここのところ、地方の山林や原野、別荘地のご売却のご相談をいただくことがあります。

親から相続したけれども場所もよくわからない、別荘があってもほとんど行かない、といった理由で、処分したいと考えることがあるようです。

ところが、今の法律では、不動産を捨てる(=放棄する)という制度がありません。

いらない不動産は、誰かに売るか、もらってもらわなければなりません。

不動産は、所有しているだけで毎年、固定資産税がかかります。

また、建物がある場合には管理費がかかるケースもあります。

その他にも、豪雪地帯ともなると、毎年雪下ろしの費用がかかってしまいます。

持っているだけでも負担になる、いわゆる「負動産」という状態です。

もっと恐ろしいのは、法律で定める「所有者の工作物責任」というものです。

所有者は、その工作物の管理が不適切であったために他人に損害を与えた場合には、過失がなくても責任を負わなければならない、という法律です。

例えば、メンテナンスを放置していた建物の屋根や塀が崩れ、歩行者に怪我を負わせてしまった場合など、その責任を所有者は追わなければなりません。

年間の固定資産税とは比べ物にならない負担となってしまう不動産とも考えられます。

このような不動産は、どんなに安くても、せめて売れるのであればまだ良い方です。

中には、無料であっても引き取ってもらえない不動産があります。

具体的な所在も、土地の形状も境界も不明の山林や、広いだけで活用の方法がまったく見当のつかない原野などが日本各地に溢れています。

現在、不動産を捨てる(=放棄する)制度について政府が検討中です。

ただ、この制度が実現するまでにはまだ時間がかかりそうです。

今後の人口減少社会を考えると、地方の山林に限らず、衰退する都市部の宅地であっても「負動産」となってしまうケースも想定されます。

「安いから」という安易な理由だけでの不動産選びは避けることをおすすめいたします。

必要な場合に売却できる、資産性の高い不動産選びをしていただければ幸いです。

関連記事一覧