「家の広さ」に国の基準がなくなった?! これからの住まい選びで知っておきたいこと

これから家を買う人、借りる人にとって見逃せないニュースがありました。
国土交通省が定める住宅政策の指針「住生活基本計画」が今年3月に改定され、長年あった「家の広さの目安」がそっくり姿を消したのです。
「広さの目安がなくなる」と聞くと漠然としていますが、要は「このくらいの広さがあれば快適に暮らせますよ」「最低でもこのくらいは確保しましょう」という、いわば国のお墨付き基準が撤廃されたということです。
これは単なる制度変更ではなく、今後どんな家が市場に増えていくのかを左右する大きな転換点といえます。

■そもそも「家の広さ」に関わる、「住生活基本計画」って何?

あまり聞き慣れない名前ですが、これは国が5年ごとに見直している、今後10年間の住宅政策の方向性を示す計画です。
道路や公共施設のように、国が直接「家」を作るわけではありませんが、補助金や税制、自治体の住宅政策の方針づけなど、間接的に私たちの住まい環境に影響を与えてきました。

■「家の広さ」に関わる、住生活基本計画の消えた2つの目安?!

今回なくなったのは、主に次の2つの基準です。誘導居住面積水準という、豊かな暮らしのために目指したい広さの目標。例えば都市部の4人家族であれば95平方メートル前後が一つの目安とされていました。
また、最低居住面積水準として、これだけは確保したい最低限の広さ。単身者であれば25平方メートルが下限の目安とされていました。
これらは戦後の住宅不足が解消し、量より質が重視されるようになった1970〜80年代に整備されたものです。
半世紀近くにわたり、住宅政策の「ものさし」として使われてきました。

■そもそも、「家の広さ」に関わる基準が、なぜ今、なくなったのか?!

制度の見直しに関わった東京大学の専門家によると、削除の背景には大きく2つの理由があるようです。
一つは、暮らし方が多様化する中で、国が画一的な基準を示すこと自体が時代に合わなくなってきたという考え方。
もう一つは、目安として掲げられてきた数字と、実際の住宅事情との間に大きなズレが生じていたことです。
実際、東京の感覚でいえば、4人家族向けの分譲マンションでも70平方メートル前後が現実的なラインで、100平方メートル近い物件はかなりの高額物件に限られてきています。
つまり「目標」として掲げられていた数字自体が、もはや一般の人にとって手の届かない理想になっていたわけです。
最低面積の撤廃についても、同じ専門家は「狭くても家賃が安いなら住みたいという人の選択肢を、国が一律の基準で狭めるべきではない」という立場を示しています。
住まいの広さは、最終的には民間の市場で需要と供給によって決まるべきだという考え方です。

■「家の広さ」に関わる最低面積の撤廃は業界側には戸惑いも?!

一方で、住宅情報サイトを運営する企業のシンクタンク責任者は、ライフスタイルの多様化そのものには理解を示しつつも、目安が突然なくなることには違和感があると指摘しています。
懸念されているのは、「一定の広さを確保する必要はもうない」という誤ったメッセージが市場に広がってしまうことです。
実際、同社が運営する住宅検索サイトでは、10平方メートルに満たないような極小物件への問い合わせも一定数あるといいます。
都心に住みたいという需要があるのは事実としても、使い勝手の悪い極端に狭い住宅が今後、中古市場に積み上がっていくリスクも指摘されています。

■家の広さ」について、狭い家でも快適に暮らすための工夫!

これから限られた広さの住まいで暮らす人は、どんな工夫ができるのでしょうか。
住宅リノベーションを手がける企業の事業責任者への取材から見えてきたヒントを紹介します。

一つ目は「間仕切りを減らす」という事です。壁や仕切りを最小限にすることで、廊下などの「通路のためだけのスペース」を削減し、体感的な広さを確保する。
二つ目は「断熱性能を高める」という事です。
家全体の断熱性を上げることで、エアコン1台でも家中を快適な温度に保てるようになり、各部屋に個別の空調を用意する必要がなくなります。
三つ目は、「収納の形を見直す」という点です。
奥行きのある押し入れのような、デッドスペースが生まれやすい収納をやめ、壁面を活用した収納に切り替えるなどです。
四つ目は「子ども部屋は最小限に」するです。
個室は2〜3畳程度に抑え、勉強や交流はリビングで行うという考え方も広がりつつあるといいます。
子ども一人に広い個室を、という発想自体が見直されてきているようです。
50平方メートル程度あれば、3人家族でも工夫次第で十分豊かに暮らせるというのが、現場で住宅づくりに携わる立場からの実感のようです。

■家の広さ、これからの「標準」は40〜50平方メートルに?!

新しい計画では「最低面積」や「誘導目標」という言葉こそ消えましたが、単身世帯や2人世帯、未就学児のいる夫婦などを想定し、「40平方メートル程度を上回る住宅」を供給していくべきだという方向性は示されています。
これは新築だけでなく中古住宅の流通も視野に入れた考え方です。
家族構成やライフステージの変化に応じて住み替えを重ねながら、様々な世帯がそれぞれの広さの住まいを住み継いでいく、そうした社会を目指す方針だといえます。

■家を選ぶ人へ、押さえておきたいポイントについて

国の基準がなくなるということは、裏を返せば「広さの妥当性を自分自身で判断する必要が増える」ということでもあります。
これから住まい探しをする人は、次のような視点を持っておくと安心です。
極端に狭い物件は、将来の家族構成の変化や売却・賃貸時の汎用性も考慮して検討することです。
また、断熱性能や間取りの工夫次第で、数字以上の快適さを得られる場合もあると知っておく必要があります。
また、中古市場での資産価値も見据え、極小住宅の将来的な流通性についても情報収集することも大切です。
住宅価格の高騰が続く中、「広い家を持つ」ことが当たり前ではなくなりつつある時代です。
国の目安という後ろ盾がなくなった今だからこそ、一人ひとりが自分にとっての「ちょうどいい広さ」を見極める力が、これまで以上に求められているのかもしれません。

今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

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