マンションの梁(はり)とは?仕組みと工夫で変わる住み心地

■マンションに梁や柱が出っ張る理由

マンションによっては、梁(はり)や柱が出っ張っていて、すっきりとした空間がつくりにくい間取りがあります。
この梁や柱は、建物を支えるための重要な構造体であり、特に「ラーメン構造」と呼ばれる建築方式では、柱と梁で建物を支えるため、室内にそれらが露出することがあります。

しかし近年では、居住性を高めるために梁の出っ張りをなくす工法も採用されるようになっています。

■構造形式による違い

【ラーメン構造】

柱と梁で建物を支える構造で、梁が室内に現れることがあります。
ただし、次のような工法を採用することで、室内に梁が出ないよう工夫されている場合もあります。

・アウトフレーム工法:柱や梁を建物の外側に配置し、室内に出っ張りが出ないようにする工法。

・逆梁工法:梁を天井側ではなく床側に設けることで、天井をフラットにする工法。

【壁式構造】

壁全体で建物を支える構造で、梁が室内に現れることはありません。
主に中低層のマンションに採用されます。

■その他の代表的な工法

ボイドスラブ工法

厚みのあるコンクリート床スラブの中に円筒状の空洞(ボイド)を設け、床全体で梁の役割を果たす構造です。
梁が不要になるため、室内はフラットで開放的な空間になります。
ただしスラブを厚くする必要があるため、階高が高くなりコストが上がりやすい点には注意が必要です。
それでも「梁のないすっきりした空間」が魅力で、人気の高い工法です。

アウトポール工法

柱を室内から外側(バルコニー側や共用廊下側)にずらして配置する工法です。
これにより、室内の柱型がなくなり、家具の配置自由度が高まります。

種類としては以下のようなものがあります:

・一般的なアウトポール:バルコニー側に柱型をずらす。

・逆張りアウトポール:柱型を逆梁の位置に設置。

・ダブルアウトポール:バルコニー側と廊下側の両方に柱型を出し、室内をよりすっきりさせる。

■無梁・中廊下構法

中廊下タイプのマンションで、廊下上部の梁をなくし、床スラブだけでつなぐ構造です。
これにより、梁下を通っていた設備配管の位置を上げられるため、階高を抑えられるメリットがあります。

梁を活かしたインテリアの工夫

梁は建物を支える重要な構造部材ですが、デザインの一部として活かすこともできます。
たとえば、梁をあえて見せてアクセントクロスや間接照明を組み合わせると、スタイリッシュで奥行きのある空間を演出できます。

■注意点

梁や柱は建物の構造上欠かせない部分のため、勝手に撤去や加工を行うことはできません。
また、マンションの築年数や構造形式によって、採用されている間取りや工法にも時代ごとの特徴があります。

そのマンションならではの構造を理解し、梁や柱をうまく活かした住まいづくりを楽しんでみてはいかがでしょうか。

リニュアル仲介 渡辺でした。

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