
不動産購入時の手付金について
不動産購入時の「手付金」について
不動産購入を検討する際、「頭金」という言葉は頻繁に耳にします。しかし、多くの方が「家を買う時に自分たちが使える現金」という何となくの捉え方をしており、これが後々の資金計画の混乱を招く原因となっています。そこで今回は実際に起こりがちなトラブル事例について解説をしたいと思います。
■よくある資金計画の混乱事例
あなたが準備した頭金が500万円だとします。4,000万円の物件を購入する際、不動産の売買契約時には以下の支払いが必要になります。
・手付金: 200~400万円(物件価格の5~10%が相場)
・仲介手数料の半金: 約70万円
この時点で、頭金500万円のうち470万円を使用し、手元に残るのはわずか30万円。ところが、契約前の説明で「諸費用は物件価格の7%(約300万円)くらいで、通常は現金でご用意ください」と聞いていたため、パニックになってしまいます。「もう30万円しか現金が残っていないのに、あと300万円なんて用意できない!」少し冷静になって計算し直すと、仲介手数料の半金70万円も諸費用の一部なので、300万円-70万円=230万円が残りの諸経費。それでも「やっぱり200万円足りない!?」という状況に陥ってしまいます。このような頭の中の混乱は、決して珍しいことではありません。多くの購入者が同様の経験をしています。
■手付金の基本的な仕組みと性質について
そもそも不動産の手付金とは、売買契約締結時に買主が売主に支払うお金で、以下の性質を持ちます。
1. 契約成立の証拠: 売買契約が成立したことを示す証拠金
2. 契約履行の担保: 契約を確実に履行することを担保する性質
3. 物件代金の一部: 最終的には物件の購入代金に充当される
■そもそも手付金は頭金なのか?ローンなのか?
この問いに対する答えは「手付金は物件代金の一部として充当されるため、頭金とも言えますし、ローンで借りる部分とも言えます」。重要なのは、頭金とは単に手付金のことではないということです。頭金の正確な定義は以下の通りです。つまり、逆算すれば「いくらローンを組むか」を決める重要な要素となります。
頭金 = 購入に要する費用全体「物件価格+諸費用+リフォーム等」に対する自己資金の投入額
■実際の不動産の取引における資金の流れについて
実際のケースを用いて、契約から決済までの資金の流れを詳しく見てみましょう。通常の購入費用の内訳は下記の通りとなります。
<購入費用の内訳>
〇売買価格:4,000万円
〇諸費用:300万円
・仲介手数料:140万円(売買契約時に半金70万円、決済時に残金70万円)
・登記費用:30万円
・住宅ローン関連費用:60万円
・火災保険料:20万円
・固定資産税等精算金:30万円
・印紙代:2万円
・その他諸費用:18万円
・ リフォーム:0円
〇購入総額:4,300万円
■諸費用の詳細内訳と支払いタイミングについて
1. 仲介手数料
・金額: (売買価格 × 3% + 6万円)+ 消費税
・4,000万円の場合: 約140万円(税込)
・支払時期: 契約時50%、決済時50%が一般的
2. 住宅ローン関連費用
・事務手数料: 借入額の2.2%または定額(銀行により異なる)
・保証料: 借入額・期間により変動(0.2%程度が相場)
・火災保険料: 建物価値・保険期間により変動
・団体信用生命保険料: 多くの銀行で金利に含まれる
・支払時期: 主に決済時
3. 登記関連費用
・登録免許税: 固定資産税評価額の0.3%(住宅用の場合)
・司法書士報酬: 10~20万円程度
・支払時期: 決済時
4. その他の費用
・固定資産税・都市計画税の精算金: 引渡し日での日割り計算
・管理費・修繕積立金精算金**: マンションの場合
・印紙代: 契約書・ローン契約書用
・支払時期: 主に決済時
■不動産購入時の手付金についてのまとめ
不動産購入は人生最大の買い物の一つです。「勘定あって銭足らず」という状況に陥らないよう、専門的な知識を持った不動産会社や金融機関と密に連携し、綿密な資金計画を立てることが成功への近道となります。今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕


