中古住宅の取引は「仲介会社選び」が最も重要です
物件は一つしかないので、結局のところ、どの不動産仲介会社を通じても、購入した物件には違いがありません。
しかし、間に入る不動産仲介会社によって、物件の買い方やプロセスは大きく変わってしまいます。
新築と違い、中古住宅は検討するべき項目が多いです。窓口となる仲介会社が「うちの仕事じゃないんで…」と逃げてしまうと、結局のところ買主が損をしてしまうのです。
■完全自己責任の住宅ローン減税?!
先日ご相談いただいた件です。
※耐震基準適合証明や住宅ローン減税に関するコンテンツを配信しているので、当社の取引ではない消費者からのお問い合わせもたくさんいただいています。
お問い合わせの日から3日後が引き渡し日で、今からの手続きで住宅ローン減税は間に合うのか?という相談でした。
この取引には二つの問題がありました。
ひとつは仲介会社が築年数を誤って判断していたことです。不動産売買契約後、住宅ローンの正式審査を行うまで、平成11年築で住宅ローン減税が利用できると聞いていたそうですが、実際には平成10年築で、築後年数要件に抵触する物件でした。
今から耐震基準適合証明書が間に合いますか?という相談だったのですが、残念ながら3日ではどうしようもない状況でした。
二つ目は売主が宅建事業者なのに既存住宅売買瑕疵保険について全く説明がなかったことです。
この物件は新耐震の物件だったので、もし既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば、住宅ローン減税が適用されていました。
さらに売主が宅建事業者の場合は住まい給付金も利用できる可能性があるのですが、住まい給付金を使うためには既存住宅売買瑕疵保険の加入が要件となっています。
最低2年の瑕疵責任については説明があったものの、既存住宅売買瑕疵保険やインスペクションについては全く聞かされていない状態でした。
住宅ローン減税は税制の話なので、仲介会社は直接に関係する話ではありません。ただ、住宅購入に関係する補助制度なので、窓口となる仲介会社が機能していないと、消費者が制度を利用することはできません。
住宅ローン減税を買主の自己責任としてしまう姿勢の仲介会社はあまりに無責任ではないかと思います。
■実は中古取引に慣れていない?!
不動産業界は長らく新築のマーケットでした。
国の住宅政策の転換で、中古住宅の流通が促進されていますが、既存住宅売買瑕疵保険やインスペクションなどの制度はできたばっかりで、1件も取り扱ったことがない仲介会社が存在します。
不動産のプロと標榜しておきながら、実は中古取引をあまりやったことがない会社が多いのです。
適切な事業者選びにはいくつかポイントがあるのですが、最もわかりやすいのが、買付申込の段階で、「住宅ローン減税を利用するための方法」を確認することです。
適切に案内していただける場合はそのまま取引が進められますが、ごまかしたり、明確な回答が得られない場合は、事業者を変えた方が無難です。
中古住宅を取得する場合に様々な支援制度が用意されているのですが、窓口となる仲介会社が不慣れだとどの制度も利用できないという結果になりかねません。
大切なことなのでもう一度。
中古住宅を検討するなら、まずは仲介会社選びが大切です。