
放置していませんか?!相続登記申請の義務化!
日本において、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。
これは、長年にわたって深刻化してきた所有者不明土地問題を解消するための重要な制度改正です。
従来、不動産の相続登記は任意とされていたため、相続が発生しても登記手続きを行わないケースが多く、その結果として所有者が誰であるか分からない土地が全国各地で増加していました。
この問題に対処するため、国は相続登記を法的義務とし、違反者には罰則を設けるという抜本的な対策に乗り出したのです。
■そもそも所有者不明土地とは?!
所有者不明土地とは、登記簿上の所有者が判明しない、あるいは判明しても連絡が取れない土地のことを指します。
この問題は単に登記の形式的な問題にとどまらず、社会全体に様々な深刻な弊害をもたらしてきました。まず、公共事業や災害復興の場面において大きな障害となります。
道路の建設や拡幅、防災施設の整備、あるいは災害後の復旧作業などを進める際、所有者が不明であれば土地の利用や買収の交渉ができず、事業全体が停滞してしまいます。
特に緊急を要する災害復興の現場では、この問題が深刻な遅延を引き起こす要因となっていました。
また、土地の有効活用が阻害されることも大きな問題です。
所有者が不明であれば、その土地を売買したり開発したりすることができません。
これにより、本来であれば住宅地や商業施設として活用できたはずの土地が放置され、地域の経済活性化や開発の機会が失われてしまいます。
さらに、管理が行き届かない所有者不明土地は、雑草が生い茂ったり不法投棄の場所として利用されたりするなど、周辺環境の悪化や治安の低下を招く可能性があります。
これは近隣住民の生活環境にも悪影響を及ぼす問題です。
特に深刻なのは、権利関係の複雑化です。
相続登記を行わないまま時間が経過し、さらに次の相続が発生すると、相続人は複数世代にわたって増え続けます。
例えば、祖父の代で登記をせず、父の代でも放置し、孫の代になると、相続人が数十人にも及ぶケースも珍しくありません。
このような状況では、土地を売却したり活用したりするために必要な全員の合意を得ることが極めて困難になります。
中には連絡先が分からない相続人や、海外に移住している相続人もいるでしょう。
こうして権利関係が複雑化すればするほど、ますます所有者不明化が進むという悪循環に陥っていたのです。
■なぜ、所有者不明土地が増えてしまったのか?!
所有者不明土地が増加した背景には、いくつかの要因が考えられます。
第一に、相続登記の手続きには一定の手間と費用がかかります。
手続き自体が複雑であることに加え、登録免許税や司法書士への報酬など、決して無視できない費用負担が発生します。
特に資産価値の低い地方の土地などでは、費用をかけてまで登記する意義を見出せないという判断もあったでしょう。
第二に、これまで相続登記をしないことによる明確な罰則が存在しなかったため、登記を怠ることのデメリットが実感されにくい状況でした。
また、不動産を所有すると固定資産税の支払い義務が生じるため、課税を避けたいという動機から登記を避けるケースもあったと考えられます。
このような状況を改善するため、2024年4月1日から相続登記の義務化が施行されました。
新しい制度では、不動産を取得した相続人は、原則として「自己のために相続があったこと、および不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請することが義務付けられています。
この期限を正当な理由なく過ぎてしまった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
■この改正で重要な事は施行日より前に発生した相続についても遡及的に適用!
特に注目すべきは、この義務化が施行日より前に発生した相続についても遡及的に適用される点です。
つまり、何十年も前に発生した相続であっても、まだ登記をしていない不動産については、2027年3月31日までに登記を完了させる必要があります。
これは過去の相続を放置してきた多くの人々に対して、登記手続きを促す強力なインセンティブとなっています。
相続登記の義務化は、所有者不明土地問題の解消に向けた重要な一歩です。
すべての不動産所有者が自らの権利を明確にし、適切に登記することで、土地の有効活用が進み、公共事業や地域開発がスムーズに進められるようになることが期待されています。
不動産を相続した方、あるいは過去の相続で登記をしていない不動産をお持ちの方は、期限内に必ず手続きを完了させることが重要です。
今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕


