中古+リノベを狙うなら2000年5月以前がお勧めです

都心部を中心にマンション価格の高騰が続いており、中古戸建て住宅に目を向ける人が増えています。
中古戸建ては不安だなぁと感じる方も多いかもしれませんが、建築年月で大雑把に区分することで、中古戸建て住宅に対する不安も解消できるのではないかと思います。
今回は中古戸建て住宅の中でも最も数が多い木造住宅についてご説明いたします。

□あまりリフォームにお金をかけたくない方は2000年6月以降を狙う

阪神淡路大震災の教訓を受けて2000年6月に建築基準法が改正されました。主な改正内容は壁の配置バランスの規定と接合金物の規定です。
あまりリフォームにお金をかけたくない人は2000年6月以降の物件を探すのが良いでしょう。
ただ、築浅物件は競合も多いので気に入った物件が見つかったら早めに決断しなければあっという間に他の人に売れてしまうので注意が必要です。

□中古+リノベは新耐震の物件を

せっかく家を買うのだからお風呂やキッチンなどの設備は新しくしたい!とある程度まとまったリフォームを想定される方は2000年5月以前の物件を検討するのも良いでしょう。
築年数が古くなればなるほど売り出し価格は安くなる傾向にあるので、リフォームで直すことを前提にするのであれば、なるべく物件価格を抑えるというのも合理的な判断です。
しかし、いくら安いからといって1981年5月以前の「旧耐震」と言われる時期の建物はお勧めできません。(土地に余程の価値がある場合は除く)
旧耐震の物件はリフォームで直すよりも建て替えた方が合理的な場合も多いためです。
物件価格が安い旧耐震の物件に最低限のリフォームで住むというのが最も行ってはいけない判断となります。

□建物が傾いている物件は避ける

建物の劣化事象はリフォームで直すことができるのですが、お金がかかる劣化事象というのが存在します。
まずは建物の傾きです。
建物の傾きを補正する技術もあるのですが、建物の状況によっては改修工事を行うことができませんし、何より施工費用が高額です。
既存住宅状況調査で指摘されるレベル(6/1000以上)の傾きがある家は買わない方が良いです。
建物の傾きはレーザーレベルなどで計測するのですが、レーザーレベルをお持ちの方は少ないと思います。
内見時に家の中だけでなく建物の外側もチェックし、基礎や外壁にひび割れが多く見られる場合は建物の傾きが懸念されるので早めに建築士の判断を仰いだ方が良いと思います。

□雨漏れ跡を見逃さない

雨漏れは建物の劣化を表す重要なサインです。
物件の内見時には天井をよくチェックして、雨染みがないか確認しましょう。
特に2階(3階)バルコニーの直下に部屋がある場合で雨染みが見られる場合、バルコニーの防水周りでの不具合が懸念されます。
雨漏れは発生原因を特定しにくいケースが多いので、雨染みが見られた物件については建築士に早めに相談して、購入するかどうかを判断した方が良いでしょう。

□タイルのお風呂

浴室がユニットバスではなくタイル張りのお風呂の場合、水漏れで浴室周りの木材が影響を受けている可能性があります。
タイルのお風呂はそのまま使うのではなくユニットバスへの交換がお勧めですが、劣化が見られる場合は余分な改修費用がかかってしまうので、予算が厳しい場合はタイルのお風呂がある物件は避けた方が良いかもしれません。

□耐震改修を前提とすれば間取り変更は比較的容易

今はリビングをなるべく大空間にする間取りが主流ですが、少し前はLDKの隣に和室を併設する間取りが主流だったことがあります。
また、キッチンもカウンター式のキッチンが増えているのですが、空間を有効利用するためにキッチンが壁に向いているレイアウトが多かった時期もあります。
このように実際に物件を見に行った際に間取りが気になることは多いと思います。
2000年5月以前の建物を検討する場合、耐震診断や耐震改修(旧耐震に比べると軽微な改修工事で済みます)が不可欠ですが、耐震改修工事は壁を強くする工事なので、間取り変更で壁を撤去したとしても、その分別の箇所を補強すれば良いだけなので、耐震改修工事を前提とすると、間取り変更は思ったよりも容易に行うことができますので、積極的に検討してみることをお勧めします。

住宅購入を考える時に「既にできているものが欲しい」と「家づくりを楽しみたい」の二つに分かれます。
前者の場合は、2000年6月以降の建物を軽微なリフォーム程度で購入するのがお勧めです。(事業者によるリノベーション済み物件もお勧めです。)
もしせっかくの住宅購入だから家づくりも楽しみたいとお考えの方は、耐震改修や劣化改修を前提として、2000年5月以前の少し古い物件に目を向けてみるのも良いかもしれません。

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