アスベスト(石綿)含有の事前調査の義務化とその影響
2022年4月からアスベスト含有物の事前調査結果等の「届出」制度が始まりました。
これが我々消費者にどのように影響するのでしょうか。
■制度の概要について
大気汚染防止法の改正、労働安全衛生法石綿障害予防規則の改正により、2021年4月から建物の解体・改修工事時の石綿飛散防止対策が強化されました。施工業者は、建築物や工作物の解体・改修工事を行う際に、工事の希望、請負金額にかかわらず事前に法令に基づく石綿の使用の有無の事前調査を行うことが求められるようになりました。
さらに2022年4月から下記の工事について、労働基準監督署と自治体へ事前調査結果等の「届出」が義務化されました(事前調査そのものは下記の規模によらず実施する必要があります。なお2023年10月以降は『建築物石綿含有建材調査者』資格保有者及び、令和5年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録されている者が事前調査を行うことになります)。
【報告の対象】
・延床面積80㎡以上の建築物解体工事
・請負金額100万円以上の建築物の改修工事 (リフォーム)
現場では、調査結果を労働基準監督署および自治体に対して、インターネットから「石綿事前調査結果報告システム」で届け出、または、それぞれ役所の窓口へ書面による届け出が作業の14日前必要になり、そのため工事契約後、着工までに日数を要することになりました。
■発注者(建物の所有者等)にも新たに「配慮義務」が設けられました
発注者には、元請業者に事前調査に使用する「設計図書等の提供」や「適切な費用の負担」が求められます。また工事の元請業者が作成した事前調査結果や除去等作業完了後の報告書は発注者が保管することになりました。
解体・改修工事を行う建築物等に石綿(アスベスト)が使われていることが明らかとなった場合には、石綿(アスベスト)除去等の工事に必要な費用、工期、作業の方法などの発注条件について、施工業者が法令を遵守して工事ができるよう配慮する必要があります。
※ 建築物等の解体・改修を行う事業者には、法令により、石綿(アスベスト)の含有の有無の事前調査を行う義務があります。このため、解体・改修工事を事業者に発注する場合には、石綿(アスベスト)の事前調査費用が計上されていることを確認してください。
■不動産取引ではどのような事に気を付ければよいでしょうか。
不動産を購入して、
・延べ床面積80㎡を超える解体工事や、請負金額100万円以上の建築物の改修工事(リフォーム)が伴う場合は、事前調査の上、届け出が義務化されたため、その為の費用負担がかさむことや全体の工期が今以上に伸びる可能性があります。古家の建て替えや、リフォームをされる場合は、余裕をもったスケジュールを考慮しておく必要がありますのでお気を付けください。