変動金利と固定金利のどちらが良いか?という不毛な議論をそろそろやめませんか?<2>どちらがより安心か?という判断基準

住宅ローンシリーズの2回目です。
今回は住宅ローンが安心かどうかという観点でご説明いたします。

金利上昇リスク

それでは変動金利と固定金利のどちらが良いか?の「良い」って他に判断基準はないかな?

前回からの流れだとリスクってことですか?

良い答えだね。
二つ目の判断基準は安心かどうかということだ。
結論を言うと、どちらが安心かどうかで問われたら、固定金利の方が安心だ。
なにせ金利が変わらないんだから。

でも金利が上がるとは限りませんよね。

安心の価値はまさにそれ。
変動金利で住宅ローンを組むと、いつか金利が上がってしまうかもしれない金利上昇リスクをずっと抱えることになる。
固定金利の場合は借りた時の金利がずっと続くから、毎月の返済額が変わることはない。

でも金利が急上昇しても、いきなり上がるわけじゃないんですよね。

その通り。
変動金利とは言え、金利上昇時の毎月返済額の上げ幅にはルールがあるから、返済額が倍になるわけではない。

じゃあ変動金利でも安心じゃないですか。

元利均等の場合は、金利支払いを先行して充てるから、一向に元金が減らないことになるけどね。

それは困ります。

今の常識が通用しなくなるのが世の常だ。
新型コロナだって、世界規模で経済危機が起きるって誰も予想できてなかったよね。
確かに現在・過去しか判断材料がないけれども、お金に関することはあまり楽観視しない方が良いと思うよ。

住宅ローンが返済できなくなるリスク

さらに、ここで言う安心は市場の金利上昇リスクだけじゃないんだ。
経済危機なんかより身近に起こりうるリスクがあるだろ?

失業とか病気とかですか?
働けなくなったらローンが返せません。
でもそれは固定金利でも一緒じゃないんですか?

銀行のホームページをよく見てみよう。
変動金利は、基準金利と適用金利の表記があるだろ?

あります。
M銀行の基準金利は2.475%って書いてありました。
これってどういうことですか?

語弊を恐れずわかりやすく言うと、基準金利は定価で、適用金利は割引後価格ってとこかな。
M銀行の場合は基準金利から1.7%~1.95%割引しますよって商品になる。

結果的に引かれるなら同じじゃないんですか?

それは違うね。
あくまで銀行と契約する金利は2.475%なんだ。
金利が優遇されるのは良いお客さんでいる間だけだ。
支払いが遅れるなど契約に違反するような行為があると、優遇金利が撤廃される恐れがある。
お得かどうかのシミュレーションの時に2.475%で計算しただろ?
何かあったら、返済総額1000万円超えの金融商品に化けるってことだ。

でも必ずしも優遇がなくなる訳じゃないですよね?

そこらへんは銀行に聞かないとわからないね。
少なくとも契約上はそういう関係になるってこと。
対して固定金利は契約する金利が適用金利だから、2重の意味で金利が変わらないことになる。
さて、どっちが安心?

固定金利の方がいいです。。。

新型コロナの話が出たから余談だけど、フラット35には返済に困った時のためのオプションが用意されている。

詳細はホームページを見て欲しいんだけど、支払いが困難になったら、35年で借りているローンを50年換算して、月々の返済額を少なくするというような対策も用意されている。

まぁ民間金融機関でも政府の要請で返済猶予の対策を講じているみたいだけど、元となる契約が契約だけに、返済猶予を貰って急場を凌げても、その後優遇金利がなくなったとしたら元も子もないよね。

こういった情報は非常に不透明だ。

やっぱり安心が一番です。

変動金利から固定金利への借り換えは現実的ではない

判断基準は他にもあるんだけど、挙げるときりがないからもう一つだけ。
それは借り換えの問題だ。

どういうことですか?

当初借りていた金利よりも、今の金利が大幅に安くなったとしたら、住宅ローンを組みなおした方がお得になるだろ?
10年前、2010年8月のフラット35の金利は2.23%(21年以上)だったから、今の金利に借り換えると金利が半分になることになる。

お得です!絶対借り換えた方がいいです!

じゃあ逆だとどうだろう?
例え金利が上がったとしても固定金利へ乗り換えたいと思うかな?

う~ん。難しいです。。。

今は金利がほとんど底値だからね。
変動金利から固定金利への乗り換えで、金利が下がることはほとんど期待できない。

でも万が一金利が上がり始めたら借り換えた方がいいですよね。

タイミングによるだろうね。
ただ、変動金利が上がるってことは固定金利も上がるから、かなり難しい判断を求められることになるよ。

最近は超低金利時代だからあまり聞かなくなったけど、金利が4%を超えるくらいの状況の時は今後の金利減少を見越して変動金利を選択する、金利が4%を下回る状況の場合は、金利上昇リスクを踏まえて固定金利を選択する、というのが住宅ローン選択のセオリーと言われていたこともある。

まぁ、4%は極端だけど、2%台くらいまでは固定金利の方が安心かな。

とりあえず固定で組んでおいて、不満があればいいタイミングで借り換えれば良い、ということですね。


住宅金融支援機構のフラット35のキャッチコピーのように、借りた時からずっと金利が変わらないのは、安心という価値を生み出します。

住宅購入の際は、土地や物件探しが忙しく、じっくり住宅ローンを検討できないケースも多いです。

業者に言われるまま住宅ローンを組むよりは、金利が高くても固定金利で組んでおくのが安心・安全の住宅購入と言えるのではないでしょうか。

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