瑕疵保険⑦瑕疵保険と住宅ローン減税
既存住宅売買瑕疵保険シリーズ7回目です。
今回は瑕疵保険と住宅ローン減税について説明します。
瑕疵保険の付保証明書が耐震基準適合証明書の代わりになる
太郎さん。
確か瑕疵保険を利用すると耐震基準適合証明書がなくても住宅ローン減税の築後年数要件が緩和されるんですよね。
確かにそのような方法はあるけど、住宅ローン減税を目的とするなら瑕疵保険はちょっと注意が必要だよ。
どういうことですか?
加入した後の付保証明書っていうのがあればいいんですよね。
瑕疵保険の付保証明書は、確かに瑕疵保険に入りましたっていう書類になるね。
問題は発行されたタイミングだね。
書類があればいいという訳ではないんですね。
注意するのは所有権移転前の発行か、所有権移転後の発行か、ということ。
だから、必ず所有権移転前の発行になる、売主が宅建業者の場合と個人間売買でもマンションの場合は問題ない。
実際に耐震基準適合証明書がむずかしいマンションは瑕疵保険を狙った方が早い場合もある。
所有権移転後ってことは引き渡し後リフォーム特約のことですよね。
書類が発行されればいいんじゃないですか?
所有権移転後になる場合は耐震改修工事を実施することが前提になる。
これは瑕疵保険の場合でも同じだ。
そして、瑕疵保険の場合、引き渡し後に耐震改修工事を行った場合は耐震基準適合証明書を発行してもらう必要がある。
だったら耐震基準適合証明書でいいですよね。
その通り。
でも引き渡し後に耐震改修を行わない場合もありますよね。
単に雨漏れしているだけとか。
この場合でも雨漏れを直せば引き渡し後リフォーム特約で付保証明書は発行されますよね。
ここが注意が必要なポイントなんだ。
住宅ローン減税で問題としているのはあくまで耐震性についてだけだ。
瑕疵保険の付保証明書で良いのは、瑕疵保険の基準に耐震性の確認があるからに過ぎない。
で、発行時期がポイントなのは、所有権移転後に書類を発行する場合は耐震改修工事が前提となるからだ。
耐震改修を行わない場合は所有権移転前に証明書が必要だけど、瑕疵保険の引き渡し後リフォーム特約だと、リフォーム工事が終わらないと証明書が発行されないから、対象にならないというわけだ。
住宅ローン減税は耐震がテーマと考えればいいんですね。
判断がややこしいから、所有権移転後は耐震基準適合証明書が必要と考えていた方が現実的だと思うよ。
住宅ローン減税と瑕疵保険で問題になる場合、大抵、住宅ローン減税は使いたいけど耐震改修工事はやりたくないってパターンになる。
耐震改修工事を実施せずに住宅ローン減税を適用させたい場合は所有権移転までの手続きが重要になるので、早め早めの相談が必須で、上手くいかないケースも多いので注意した方が良いね。