人口動態及び世帯数レポート(1)生産年齢人口の減少と老年人口の増加・外国人人口の動態
総務省が発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」についてです。
すでにいくつかのメディアで「人口が最も減ったランキング」などの記事で取り上げられているのでご存知の方も多いと思いますが、この報告書は全67ページの膨大な資料になっていて、今後の人口動態を知る上で非常に参考になる資料ですので、お時間のある時にご一読されることをお勧めします。
■総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html
まずは多くのメディアで取り上げられている人口減少ランキングですが、想定されたシナリオ通りに進行しているな、というのが感想です。
これから人口減少率が高い自治体で家探しをする方は、人口減少率がそれほど高くない地域に比べて、より立地を重視した住まい探しが求められると言えます。
依然として人口が増えている首都圏よりも地方圏の方が家探しが難しくなっていると言えます。
すでに家をお持ちの方や、実家が人口減少率が高いエリアに該当する場合は、将来的な資産処分を早めに検討した方が良いかもしれません。
先日記事にもさせて頂きましたが、世間を騒がせている年金が足りない問題にあるように、老後資金をいかに確保するかは、非常に重要なテーマです。
持ち家がある場合、住宅資産をお金に換えることができるかどうかで、選択肢が大きく変わってきます。
人口減少は今後もますます進行するので、立地に問題のある住宅は、早めに行動しないと、誰も買ってくれない「負動産化」する恐れがあります。
さて、このレポートで気になったのは以下の二つです。(他にもありますが、わかりやすくまとまっているので、詳細はレポートをご一読ください。)
一つ目は生産年齢人口の減少と老年人口の増加です。
住宅購入だけをテーマとすると、家を買う人(生産年齢人口)は減る一方で、家を売りたい人(老年人口)は増える一方です。
また、生産年齢人口が減少して、老年人口が増加するということは、マイホームに求められる広さも、ファミリータイプから単身世帯タイプへトレンドが移行するということになります。
今の住宅購入の常識では、子育てのための住宅購入が主とされていますので、今からファミリータイプを買うと、将来お金に変えたくても、今よりずっと売りにくくなるということです。
※世帯数のレポートもあるので参考にしてください。
二つ目は外国人の人口動態です。
外国人人口が増加しています。同じく住宅だけをテーマにすると、日本人が減っても外国人に買ってもらえればいいじゃないか、と考える方はいらっしゃると思います。
ですが、それほど単純な問題ではないというのが私の意見です。
レポートにもまとめられていますが、外国人人口は、全国まんべんなく増加しているのではなく、かなり偏りがあります。
つまり、日本人人口と同じく、外国人人口も二極分化するのです。
外国人の移民を積極的に誘致する企業や自治体の存在ももちろん影響しますが、日本人よりも外国人の方がよりアクセスの良いエリアを選択するという傾向になると思います。(地の利がないので、交通網くらいしか判断材料がないのです)
同じ国の人が集まる地域か、わかりやすくアクセスの良い立地が選ばれて、駅からバスに乗らないとたどり着けない街や車がないと不便な街は、そもそも選択肢に入ってこないのです。
当ブログでも度々取り上げていますが、これからの日本の社会を考える上で、住宅資産を使いつぶす、これまでの考え方では、生活が成り立たなくなる恐れがあります。
住宅を活かすもつぶすも、当初の「買い方」で変わります。
将来のことと思わないで、立地の大切さをぜひご理解ください。