その価格、売主さんの「言い値」じゃないですか?

インターネットを活用した不動産広告が盛んになり、一般の方でも多くの物件情報を得られるようになりました。
ざっと表示されるリストを眺めて、「このエリアはなかなか手が出せないな」「この辺りなら予算の範囲かな」など物件購入の初期段階では有効に活用できる仕組みだと思います。

ところで不動産の価格ってどうやって決まるのかご存知ですか?

家を売りたい売主は不動産会社に自宅の査定を依頼します。通常は複数社に査定を依頼するケースが多いようです。(一括査定サイトもあります)
しかし提示される評価額は売主さんの希望する金額でないこともしばしば。
築浅だったり、リフォームしていたり、売主さんとしては価値としているところは、価格に反映されないことが多いからです。

不動産業が業者が一旦仕入れて買主に販売する仕組みであれば、売却価格はある程度最適化されることが期待できます。不動産業者が高値で買い取ってしまうとリスクを負うからですね。

ただ不動産の取引は事業者販売だけではありません。売主さんと買主さんが直接契約をする、個人間売買も一般的で、この場合不動産会社は取引を仲介する役割になります。

売主さんがいくら非現実的な価格を提示したとしても、不動産業者には何のリスクも生じないので、とりあえずその価格で販売を始めて、頃合いを見て価格を下げていくような進め方をすることもあり得るわけで、極端なことを言うと、売主さんの「言い値」でとりあえず契約だけ貰うことを重視する業者も存在し得る訳です。

実際の取引では買主さんも価格交渉します。買主さんは1円でも安く買いたいからです。
ここが不動産が「買い物」ではなく取引だと言われる所以です。双方の希望を調整して妥協点が見出せば取引成立です。

ですから、不動産広告の価格を鵜呑みにしてはいけません。あくまで売主さんの「言い値」でしかないのです。
ただ売主さんの「言い値」を切り崩すには単に安くしろと言っても無理があります。お金の話なので正当な理由を提示する必要があります。

不動産の価格を判断する方法は3つあります。
・取引事例比較法
・収益還元法
・原価法
これらの指標は絶対値ではないので、受け取る人と利用の仕方で表情を変えます。高く売りたい売主さんの理由にもなりますし、安く買いたい買主さんの理由にもなるのです。

家をなるべく安く買いたい人は、買主さんだけを担当する不動産会社に依頼することが第一です。
多くの不動産会社は売主さんの依頼も買主さんの依頼も双方受託します。これでは利益相反で結局買主さん、売主さんどちらの利益にもならない仕組みです。
買主さんの仲介会社はなるべく安く買える理由を探して交渉する、売主さんの仲介会社はなるべく高く売れる理由を探して交渉する、これがあるべき取引の姿です。

ただ現実には売主さんの「言い値」を呑まなければならない時もあります。それは買いたい人が複数いる場合です。物件は一つですから、どれだけ理由を積み重ねても、「言い値」で買う人が出てくれば取引成立しません。
一見矛盾するように見えますが、これが現実です。こうあるべきだ、という理屈だけでは上手くいかないのは世の常です。

ちなみに買主さんだけを担当する不動産会社のことをバイヤーズエージェントと言います。
これから家を買う方は少なくとも普通の不動産会社ではなく、バイヤーズエージェントに依頼することから始めると、結果的に価格の面でも納得のいく取引になる確率が上がります。

不動産購入は多くのことを検討し、意外と多くのことを妥協しなければなりません。だからこそこだわりたいポイントを共有できるバイヤーズエージェントとの出会いが失敗しない不動産購入の重要な要素になるのです。

リニュアル仲介の稲瀬でした。

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