リフォーム補助金を使いたい!でも…
現在リフォーム工事に対する様々な補助制度が運用されています。
上手く活用できればお得にリフォームが実現できますが、制度には要件が定められており、また、手続き方法も制度によって異なるので、使いたくても使えない、申請の方法がわからないといった事態が起こり得ます。
今回は中古住宅購入時のリフォーム補助金の注意点についてご説明いたします。
■原則として自己が所有する物件に対する制度である場合が多い
中古住宅購入時の補助制度の問題は、特にリフォームに対する補助制度の場合は、自己が所有する物件であるという要件が定められていることが多いことです。
不動産取引において、所有権の移転は取引プロセスの一番最後、住宅ローンが実行されて売主に物件代金を支払った後になります。
住宅ローンの実行が終わっているので、1日でも早くリフォームを完了させて、住み始めたいところですが、所有の要件がある場合、所有権移転が終わってからしか補助金の申請が行えず、また、多くの制度は申請を行ってから運営母体による承認を踏まえないと工事着工できないため、申請手続きにかかる分スケジュールが遅れてしまいます。
1~2週程度で承認が得られレれば良いのですが、場合によっては数か月待たなければならないこともあります。
既に住んでいる住宅のリフォームの場合は、着工時期が遅れても影響は少ないのですが、中古住宅取得時に住み始める時期が遅れるということは、今の家賃とローン返済をあわせて負担しなければならない時期が増えるということで、きちんと計画しないと家計に大きなダメージとなってしまいます。
■制度が利用できるかどうかの判断
リフォームの補助金をめぐっては、補助制度が利用できると聞いていたのに実際には利用できなかった、というトラブルが度々聞かれます。
補助制度の運用ルールについては、公の機関が運営母体となることから、基準や手続きが公開されています。
しかし、最終的に補助制度の要件を満たすかどうか、制度が利用できるかどうかを判断するのは運営母体になります。
先に述べたトラブルは、リフォーム事業者が甘い判断をしてしまっていたり、発注側の消費者が聞きかじりの情報で判断してしまうことが原因となることが多いようです。
補助制度の手続きをリフォーム業者が代行することも良く行われますが、制度設計上、申請者は発注者である消費者の場合がほとんどで、消費者自ら申請手続きを行うという建付けになってい場合が多いため、面倒だからと言って業者に丸投げという姿勢だと前述のようなトラブルに巻き込まれるリスクが生じます。
手続きそのものは事業者に手伝ってもらっても良いのですが、そもそも制度の対象になるか、どういった手続きが必要で、どういったスケジュールで進行するべきかなど、運営母体に直接確認するのは重要なポイントと言えます。
■誰に相談するべきかを誤るケースも多い
リフォームの補助制度なので、リフォーム会社に相談することが多いと思いますが、中古住宅流通に詳しくないリフォーム会社に相談してしまうと、所有権が既に移転されている前提で判断されたり、リフォーム工事のスケジュールだけで不動産取引のスケジュールが考慮されていないようなことがよく起こります。
だからといって不動産仲介会社に相談しても、不動産仲介会社は不動産取引のプロであって、建物やリフォーム工事に詳しくない事業者が多いです。
方法は二つあって、一つは不動産もリフォームも両方事業として取り組んでいる事業者を選ぶことです。
二つ目は不動産仲介会社もリフォーム会社も同席の打ち合わせを設けて、中古住宅を購入してリフォームする旨と、リフォームの補助金を利用したい旨を相談することです。
この場合、不動産仲介会社とリフォーム会社の両方と交渉するのは大変なので、まずは不動産仲介会社に補助制度を利用したい旨の希望を伝え、不動産取引のスケジュールに影響しないようにリフォーム会社をコントロールすることを依頼するのが良いと思います。
■動き始めのタイミングが重要
リフォーム工事の補助制度なので、物件の引き渡し(所有権移転)が終わってから動き始めるとお考えの方が多いですが、この判断は正しくありません。
補助制度で補助される金額は決して少ない額ではないので、当然ながら中古住宅+リフォームの全体における資金計画に組み込んで考慮するべきです。
補助制度を使わない場合でも、中古住宅購入とリフォームを分けて判断してしまうと、必要なリフォーム費用が足りないという事態に陥る恐れがありますので、業者に言われるままに分離して判断するのは危険です。
リフォームは当社の範囲ではないので、お客様の都合で勝手に手配してください、という姿勢の不動産仲介会社は意外と多いので、リフォームも含めて取引全体をサポートしてくれるかどうがの見極めは非常に重要です。
補助制度が利用できるかどうか動き始めるタイミングは、物件内見で気に入った物件が見つかって、いよいよこれから物件購入の手続きに入る前です。
具体的には買付申し込みを行う前です。
買付申し込みを行うと、不動産売買契約に向けてスケジュールが一気に進行します。
そして補助制度が利用できるかどうかは不動産売買契約とは関係のないことなので、後から補助制度が利用できないことが判明しても、そのことを理由に締結してしまった不動産売買契約を白紙撤回することができないからです。
補助制度が利用できるかどうかについては、運営母体(役所の窓口が多い)に確認するのですが、物件やリフォームの内容が決まっていなければ、窓口の方も判断できないので、気に入った物件が見つかったら速やかにリフォームプランを固め、運営母体に確認を行う必要があります。
ここで時間がかかってしまうと、気に入った物件が他の方に売れてしまうという結果になりかねません。
物件が決まってから不動産売買契約まではかなり慌ただしくスケジュールが進行することになります。
進行のコツは2点あります。
一つ目は物件内見の際にリフォーム会社も同席していただいて(もしくは別日で現地調査の日程を組んで)、早めにリフォームプランの作成に着手していただくことです。
この時、買付申し込みや売買契約を締結しないとリフォーム会社による現地確認を受け入れてもらえないことが想定されるので、予め不動産会社に相談しておいて、売主に交渉してもらう必要があります。
二つ目は物件が見つかる前に運営母体(役所の窓口)に相談に行くことです。
持ち家のリフォームを想定して制度設計されていたとしても、中古住宅を購入してリフォームする方が増えているので、運営母体もその対応を行わなければならない状況と言えます。
中古住宅をこれから購入する時はこういう手続きを行ってください、ここに注意してください、というようなアドバイスが貰えることも期待できるので、面倒でも取引初期段階で窓口へ行って相談することをお勧めします。
■申請期限に注意
補助制度を検討するに当たって重要となるのが申請期限です。
補助制度のほとんどが単年度事業なので、原則として年度内の工事完了が求められます。(一部制度で完了時期の延長申請などはあります)
工事完了のスケジュールから逆算して、秋口から年末にかけてその時の申請期限が設けられることが多いです。
そして、次年度のスタートは年度が始まってから(5月~6月が多い)となるので、仮に10月が締切だった場合、半年近く制度が利用できない時期が存在してしまいます。
もっとも補正予算などでこういった時期にも利用できる制度もありますので、不動産取引のスケジュールを踏まえ、早め早めに相談することが大切です。
■中古+リフォームに精通した事業者を選ぶ
補助制度に限らず、中古住宅を購入してリフォームする場合は、消費者が中心となって不動産購入やリフォーム工事をコントロールすることは困難です。
結果的に資金計画が不明瞭だったり、補助制度が利用できないなどの状況に陥ります。
中古住宅購入とリフォームをセットでご検討の場合は、中古住宅取引とリフォーム工事に精通した事業者探しを行うことがはじめめの一歩となります。
インターネットの物件広告探しから取引を開始すると希望する形にならない恐れがあるので、まずはいろんな事業者に問い合わせをして、補助制度も含めた総合的なサポートをしてもらえるかの確認が必要です。
不動産取引だけでもわからないことが多い中で、リフォームや補助制度も含むとなると、わからないことだらけだと思います。(特に補助制度は役所手続きに慣れた方でないと本当にややこしい設計になっています)
こういった疑問点を解消しないと、不安という形で蓄積され、納得のいく不動産取引とは遠くなってしまいますので、まずはお気軽にお声がけいただき、お客様のご希望をお伝えください。