不動産取引は非対面になるのか
先日も不動産の引渡決済がありましたが、年度末の銀行で2時間近い時間がかかりました。
多くの書類に記入し、銀行の窓口で振り込み手続きを行い、売主様の口座に入金されるのを確認するという作業です。
年度末とのことで銀行窓口が混み合い、売主様・買主様や当事者の話題も尽き、大の大人が顔を突き合わせ、時間が経つのをひたすら待つという、一番大切なはずなのに一番ツラい時間です。
決済完了後にお客様から「毎回こんなことをしているのですか」という質問があり、業界の悲しい状況を改めて痛感しました。
不動産取引はペーパレスとは程遠い
今回の取引物件はマンションでしたが、今回も記入すべき書類はたくさんありました。
登記の名義を書き換えるための登記書類に始まり、管理会社へ提出する名義変更書類、代金の領収書、不動産会社へ提出する取引完了確認書、火災保険の書類、ローンの書類、振込み伝票など、署名・押印の連続です。
こうした書類も、一部はペーパレスやネット手続きとなってはきていますが、まだまだ書面で提出することが一般的です。
取引の要点が、「代金の支払」と「その引き換えの鍵の引渡し」になるため、対面で行うことが一番スムーズではあるのですが、それ以外の部分での書類が多すぎるのです。
不動産仲介事業者がその責任と仲介機能を発揮すべき
こうした不動産取引がよりスムーズになるためには、例えば振込みをネット送金で行う、保険申込もネットで完了するなど、各種手続きのネット化が前提ですが、不動産仲介事業者もその大きな役割を果たすことができるはずです。
どうしても手渡しをすべき鍵や書類については、事前に不動産仲介事業者が預かっておき、売主様への入金が確認できたら、責任をもって買主様へ届ける、などの方法も選択できるはずです。
不動産事業者や金融機関の中には、こうしたエスクロー(取引保全)機能を果たしている事業者もあります。
こうした手続きや機能がもっと一般的になれば、不動産取引の現場ももっとスムーズになり、余計な時間やコストが省略できるのではないでしょうか。
このような方法以外にも、ブロックチェーン技術を活用した取引方法も検討されています。
不動産取引の現場も少しずつですが、変わってきています。
不動産という大きな買い物をするお客様が、より安心してストレスなく取引ができるよう、不動産業界やそこに携わるエージェントも改革が必要であると感じた取引でした。