住宅購入の失敗は不適切な予算設定が原因
今年こそは家を買おう!と決めている方も多いのではないでしょうか。
いざ家を買おうと思った時、どうしても頭をよぎってしまうのが住宅購入の失敗です。
今回は住宅購入の失敗についてご説明いたします。
■住宅購入の失敗とは
年明けから春先までは人の移動が多い時期なので不動産繁忙期と言われます。
住宅に関するCMが多くなる時期で、こういった時期には住宅ローン破産のようなマイナス情報も多く発信されます。
人がリスクと感じる要因として「知らない」ことが挙げられます。
ご自身の理解が及ばないものに恐れを抱いてしまうのですね。
言い換えると必要な情報を得ることができれば不安を取り除くことができるわけです。
まずは住宅購入の失敗について整理します。
細かいことを言うとたくさん挙げられますが、ここでは一般に失敗例として取り扱われるものを挙げてみます。
1)住宅性能の問題
新築住宅の欠陥住宅問題や、中古住宅でよく言われる「買ったらすぐに雨漏れ」などが住宅性能の問題です。
新築住宅は適切な方法できちんと建築するということを建築会社に任せず第3者チェックを入れることで防ぐことができます。
住宅性能表示制度など公的制度の利用が望ましく、戸建ての新築の場合は長期優良住宅基準で建築するのが良いと思います。
中古住宅の場合はインスペクションと既存住宅売買瑕疵保険です。
中古なので何かしら不具合があるという前提で、悪いところ(もしくはすぐに悪くなるところ)を直して購入するのが中古住宅の正しい買い方です。
ここで必要な修繕工事を行わないために「買ったらすぐに雨漏れ」という状況になります。
そもそも中古住宅はすでに建築されて年数が経っているものなので、きちんと調べれば不具合箇所を見つけることは難しくありません。
建築士によるインスペクションは非破壊検査なのでインスペクションでは見つけられない不具合もあります。
そういった事態に備えるのが既存住宅売買瑕疵保険です。
中古住宅購入時はインスペクションと既存住宅売買瑕疵保険をセットで利用すれば安心して購入することができます。
2)環境の問題
マンションにおける上階・隣室の騒音問題や、戸建て住宅のご近所トラブルなどが挙げられます。
中古住宅の場合は売主に確認することが重要です。
売主が知っているのに隠すなど、悪意を持って情報を隠した場合は法律に抵触する違反行為となるため、なんとなく聞くのではなく、不動産会社がいる場所で正式に問い合わせすることでリスクを回避することができます。
物件に関する調査は担当する不動産会社の業務でもあるので、売主だけでなく不動産会社にもきちんと調査してもらいましょう。
新築は少し難しいです。新築のご近所トラブルはこれから発生するものがほとんどだからです。
3)お金の問題
不動産購入の失敗事例で一番に出てくるのがお金の問題です。
様々な要因で住宅ローン返済が困難になり売却を余儀なくされたり(売却しても完済できず破産してしまう例も)、破産とまではいかなくても転職や出産などで生活がかなり厳しくなってしまう話はよくあります。
未来のことは誰にもわからないので、対策ができないように思われがちですが、不動産会社があまり勧めない解決策があります。
■身の丈に合った住宅購入
お金の不安を解消する住宅購入とは身の丈にあった住宅購入をする、ということに尽きます。
不動産の営業文句で「今の家賃で家が買える」というものがありますが、「今の家賃で家が買える」は大きな間違いです。
家賃と住宅ローン返済額を同じく「住居費」として捉えてはいけません。
同条件の物件を比較した場合、家賃よりも住宅ローンの返済額の方が安くなるからです。
今まで支払ってきた家賃よりも住宅ローン返済が低くなり、月々のキャッシュフローで余った分を貯金するのが正しいあり方で、背伸びして今の家賃よりも高い住宅ローンを組んではいけないのです。
※社宅や家賃補助がある方は一般的な家賃を想定してください。
もちろん今の家賃が月々のキャッシュフローに対して適切かどうかもきちんと把握しておく必要があります。
不動産は安ければよいというものではなく、価格が高ければ高いほど資産価値を維持しやすい傾向があるためです。
高すぎも安すぎもダメで、まさに「身の丈に合った」がピッタリの表現となります。
■いつでも売れる物件を買う
住宅購入でお金の失敗を避ける大切な考え方が「いつでも売れる家を買う」です。
未来のことは誰にもわかりません。
予期せぬ病気や失業、事故など今よりも収入が下がる未来はいくらでも想像できます。
しかし将来が不安だからと言って家を買わない理由にはなりません。
収入を失う事態になったら、賃貸でも住む家を失うからです。
もし買った値段で売ることができたらどうでしょうか。
収入が減る(なくなる)という不幸に見舞われたとしても、残債が残らないように売ることができれば「ふりだしに戻る」です。
もう一度やり直すことができます。
世間で住宅ローン破産などと言われる理由は、差し迫って売却しても残債が残ってしまい、ゼロではなくマイナススタートを余儀なくされるケースがあるためです。
住宅購入は「いつでも売れる(買い手がいる)」「資産価値がなるべく下がらない」家を買うことが重要で、職場に近いとか子供の学区域とか個人的な条件を優先するべきではないのです。
また、自己満足のおしゃれリノベーションや、郊外のこだわりマイホームも考えものです。
あなたにとって価値があるものが一般的に通用するとは限りません。
自己都合を追及するがあまり誰にも売れない家に手を出してはいけません。
売れない家は不動産ではなく「負動産」なのです。
■資金計画が住宅購入の第一歩
失敗しない住宅購入の第一歩は資金計画です。
まずご自身の収入でいくらまで借りることができるかの「借入限度額」を調べます。
続いて毎月のキャッシュフローから適切な住宅費を算出し、そこから現実的な予算を算定します。
おおよその予算が見えてきたら、その予算で手が出せるエリアを選定します。
中古住宅を視野に入れている方はある程度の修繕費用も考慮しておきます。
ここで注意なのが、多くの不動産会社は借入限度額ギリギリの物件を勧めてくるということです。
「〇〇さんならこれくらいの金額は全然OKですよ!」みたいに調子の良いことを言ってきます。
不動産会社は仲介手数料が主な収入で、仲介手数料は取引金額に対する割合で算出されるため、高い物件を取引した方が収入が増えるため、なるべく高い物件を売りたいのです。(すべての不動産会社そうではありません)
もちろんプロの意見も大切なので、不動産会社のお勧めはそれとして受け取っておきつつも、現実的な予算感は決して忘れないようにしましょう。
資金計画は不動産会社に相談する、銀行の相談会に参加する、ファイナンシャルプランナーに相談するなど様々なアプローチがあります。
1社のみを鵜呑みにするのではなく、複数の意見を聞いておいた方が安心です。
反対に一番良くないのが、資金計画をせずに物件探しを始めてしまうことです。
資産価値を気にする住宅購入では必ず資金計画を行うので、資金計画を行わない物件探しとは、かなり背伸びした物件購入になってしまうことが懸念されます。
(業者の言いなりになってしまうリスクが高い)
また、資産重視というよりは自己都合の住宅購入になってしまう恐れがあり、いざという時に売れない家を掴んでしまう恐れもあります。
将来何か起きた時の選択肢は、今の住宅購入が大きな影響を及ぼします。
仮に不幸に見舞われたとしても家が救ってくれる、そんな住宅購入を実現したいものです。
■余談 投資の要素が強めの住宅購入
都市部のマンション価格が高騰しています。
10年くらい前にマンションを買った方は、買った値段どころか、かなりの売却益が出ている事例もよく聞きます。
将来の値上がりを期待するマンション購入をお考えの場合は、現実可能な予算内で買う、ではなく、可能な限り資産価値の高い物件を買うことが重要となります。
また、住まなくなったら売るではなく、投資なので価格が高いときに売るということも大切です。
次に住む家が決まっておらず一時的に賃貸に引っ越すとしても、売るべきタイミングには素早く判断して売却しなければなりません。
投資の要素が強い将来の値上がりを期待する不動産購入を希望される方は、通常の住宅購入と考え方がかなり異なるので、まずは信頼できるパートナー探しが重要です。
規模の大きな会社だと人の出入りが激しい業界でもあるので、長く付き合えるパートナー選びが大切です。
資産価値重視の不動産購入と言っても、最低限いざという時にふりだしに戻れる住宅購入と、利益を求める不動産購入では全く判断が異なることにご注意ください。