誰でもわかる!木造住宅の耐震診断 ~配置バランス~

誰でもわかるシリーズです。今回と次回で保有耐力の低減要素について説明します。

【前回までの記事】
第1回 誰でもわかる!木造住宅の耐震診断 ~必要耐力と保有耐力~
https://smile.re-agent.info/blog/?p=5067

第2回 誰でもわかる!木造住宅の耐震診断2 ~耐力壁~
https://smile.re-agent.info/blog/?p=5138

第3回 誰でもわかる!木造住宅の耐震診断3 ~接合部~
https://smile.re-agent.info/blog/?p=5204

第4回 誰でもわかる!木造住宅の耐震診断4 ~屋根~
https://smile.re-agent.info/blog/?p=5251

第5回 誰でもわかる!木造住宅の耐震診断5 ~必要耐力その他~
https://smile.re-agent.info/blog/?p=5281

保有耐力は下記の式になります。

Pd<保有耐力>=(Pw<壁耐力>+Pe<その他耐震要素の耐力>)×E<配置バランスの低減>×D<劣化による低減>

※壁耐力については、第2回(https://smile.re-agent.info/blog/?p=5138)を参照してください。

保有耐力は、壁の強さを個別に評価して、配置バランスが悪ければ低減し、劣化があれば低減します。
今回は配置バランスによる低減要素の説明です。

壁の配置バランスについては2000年6月の建築基準法改正で、具体的な規定(偏心率30%以内など)が設けられました。
これまでは釣り合いよく配置としか記載されていなかったため、壁の配置バランスの悪い木造住宅が多いのが実態です。

かつて木造在来工法は自由設計といって、設計の制限が他の工法に比べて少ないので、思い通りの家が作れると重宝されました。
多くは光を取り込むために、東側や南側にリビングとあわせて大きな窓を設置します。しかし、家を建てるには規定値以上の壁の強さが必要なので、家の西側や北側に壁が集中する歪な構造となっている場合が多いのです。

下表は配置バランスによる低減係数表ですが、最大値1.0(低減なし)から最小値は0.45とかなり影響の大きな低減要素となっています。
※仮に100の強さを持つ家でも、低減係数が0.5だった場合は、50しか評価されないことになります。

このように壁の配置バランスは耐震性を考慮する上で非常に重要な要素です。
耐震改修工事は基本的に壁の工事なので、配置バランスが悪い建物の場合は、配置バランスが改善される箇所を補強壁として設定することが大切です。(無計画な壁補強は逆に家を弱くすることもあり得ます)

また、狭小建物や著しく不整形な建物の場合、壁を設置できる箇所にも限りがありますので、どれだけ頑張って設計をしても、基準を満たすことができない物件も稀にあります。

リニュアル仲介の稲瀬でした。

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