【第3回】省エネ基準強化で変わる不動産価値|「売れる物件」と「売れない物件」の決定的な差

2026年の不動産市場において、確実に押さえておくべきテーマが「省エネ性能」です。
これまで物件選びの基準といえば、立地・価格・築年数が中心でしたが、現在はそれに加えて「住宅の性能」、特に断熱性やエネルギー効率が重要な判断材料となっています。
この流れを決定づけたのが、2025年から始まった新築住宅の省エネ基準適合義務化、そして2026年4月からのさらなる基準強化です。
制度としては新築が中心ではあるものの、市場全体に与える影響は非常に大きく、中古住宅の売却にも直接的な影響が出始めています。
結論から言えば、2026年の市場では「省エネ性能を説明できる物件」と「説明できない物件」で、売れ方が大きく変わります。
これは単なるイメージや印象ではなく、買主の判断基準そのものが変化しているためです。

■省エネ基準強化で変わる不動産価値について

なぜここまで省エネ性能が重視されるようになったのでしょうか。
その背景には、光熱費の高騰と健康意識の高まりがあります。
電気代やガス代の上昇により、日々のランニングコストを重視する人が増えています。
また、冬場のヒートショックなどの健康リスクが広く認識されるようになり、「暖かい家」「温度差の少ない家」に対するニーズが高まっています。
その結果、購入検討者は単に「安い物件」ではなく、「長く快適に住める物件」を選ぶようになりました。
そしてその判断材料として、省エネ性能が注目されているのです。では、売却市場において具体的にどのような差が生まれているのでしょうか。

■省エネ基準強化で「売れる物件」と「売れない物件」の決定的な差?!

まず、売れやすい物件の特徴として挙げられるのは、「性能が可視化されていること」です。
たとえば、断熱性能等級やエネルギー消費量の指標が明確である物件は、買主にとって安心材料になります。
さらに、過去に断熱リフォームや設備更新が行われている場合、その履歴がしっかりと残っていれば、大きなプラス評価につながります。
一方で、売れにくい物件の特徴は、「性能が不明確」であることです。
築年数が古いだけで評価が下がるわけではありませんが、「どの程度の断熱性能があるのか分からない」「光熱費がどれくらいかかるのか想像できない」といった状態では、買主は不安を感じます。
その結果、価格交渉で不利になったり、そもそも内覧に至らなかったりするケースが増えています。
ここで重要なのは、「性能が低いこと」よりも「説明できないこと」のほうが問題だという点です。
たとえ築年数が古くても、しっかりとした断熱材が使われている場合や、部分的なリフォームが行われている場合は、それを正しく伝えることで評価を高めることができます。
では、売主として具体的にどのような対策を取るべきでしょうか。

■省エネ基準強化で売主として取るべき具体的な対策について

まず取り組むべきは、「現状の見える化」です。自分の物件がどの程度の性能を持っているのかを把握することが第一歩です。
そのためには、インスペクション(建物状況調査)を活用するのが有効です。
専門家による調査を受けることで、断熱材の有無や劣化状況、設備の状態などを客観的に把握することができます。
次に重要なのが、「情報の整理と伝達」です。
リフォーム履歴や設備の交換履歴、窓の性能など、プラス要素となる情報を整理し、不動産会社にしっかりと伝えることが大切です。
販売図面や広告にこれらの情報が反映されることで、他の物件との差別化が図れます。
さらに、可能であれば「性能の数値化」にも取り組みたいところです。
たとえば、建物の省エネ性能を評価する指標を取得することで、買主に対してより説得力のあるアピールが可能になります。
これは特に競合物件が多いエリアにおいて、大きな武器となります。一方で、リフォームを検討する場合は注意が必要です。

■省エネ基準強化でリフォームが売却価格に影響?!

すべてのリフォームが売却価格の上昇につながるわけではありません。
費用対効果を見極めたうえで、最低限の改善にとどめるか、現状のままで価格調整を行うかを判断することが重要です。
不動産会社と相談しながら、最適な戦略を立てましょう。
2026年の市場では、「何もしていない物件」は確実に不利になります。
しかし裏を返せば、少しの準備と工夫で評価を大きく変えられる余地があるということでもあります。
これまでの不動産売却は、「条件の良い物件が売れる」というシンプルな構造でした。
しかし現在は、「情報を整理し、正しく伝えられる物件が売れる」時代へと変わっています。
性能をきちんと伝えられる事が、そのまま価格とスピードに直結するのです。
また、省エネ性能は住宅ローン減税とも密接に関係しています。
買主が税制優遇を受けられるかどうかは、購入判断に大きな影響を与えます。
つまり、売主としては「この物件を買うとどのようなメリットがあるのか」を明確に示すことが、これまで以上に重要になっています。
2026年の不動産売却においては、「立地や価格は変えられないが、見せ方は変えられる」という発想が成功のカギを握ります。
物件の価値を最大限に引き出すためには、現状を正しく把握し、それを戦略的に伝えることが不可欠です。今後の参考にお役立てください。

次回【第4回】では、住宅ローン減税や税制改正を踏まえた「手残り最大化」の考え方と、買い替えで失敗しない資金計画について詳しく解説します。

法人営業部 犬木 裕

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