不動産の終活に『エンディングノート』を活用する時代!

とにかくやることが多い終活。どこから手をつけてよいのかわからない人は「エンディングノート」を入手することから始められると良いようです。人生の残りの時間をかけて、ノートを埋めていく作業は、家族を思いやることにもつながり、実際にエンディングノートを書いてみて、あらたな気づきを得られる方も多いようです。

■終活とはそもそも何?!

終活とは、自身の終末期に向け、残りの人生を充実させ、後悔がないよう準備し、残される家族が判断に困らないようにするための活動ことと定義されています。自分にはまだ早い、できるだけ今を楽む、亡くなったときはその時でしょうがないと思われる方も居るかと思います。しかし、60歳を超えると「そろそろ終活を始めなければ」と必要性を感じる方も多いようです。

財産管理、住まいと身の回りの整理整頓、不動産の事、医療と介護の意思表明、墓の準備から相続まで、終活は広範囲にわたります。そこでお勧めなのが、エンディングノートを活用する事です。

■エンディングノートの入手方法について

昨今、エンディングノートは無料配布する自治体が多くあり、その配布エリアも拡大しているようです。100円ショップでも販売していますし、インターネットから無料でダウンロードもできるサイトもあります。

<埼玉県川口市のエンディングノート>
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/soshiki/01070/040/endding/index.html

「わたしの備忘録」「生き方ノート」「わたしノート」といった終末期をイメージさせないタイトルとなっているケースも多いようです。川口市のエンディングノートの場合は第1章に「わたしのこと」、第2章には「もしもの時のこと」、第3章には「葬儀関連」、第4章には「大切な人たちへ」、第5章には「財産について」、第6章には「川口市の相談窓口」という構成になっているようです。

個人情報データのポイントは、過去の本籍地。死後の手続きでは出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せることが必要で、これは家族に面倒をかける大きな作業となります。生前に入手するのが望ましいようですが、金融機関など申請先によっては戸籍謄本の取得時期に有効期限を設定している事も多い為、死亡後の取得となるケースが一般的です。

■エンディングノートの書き方について

続いて、エンディングノートの書き方ですが、まずは好きなページから気軽に書き始める事が良いようです。また、一度、書いてしまったら、書き直せないわけではありませんので、何度も書き直し、更新日を記入しておくと良いようです。また、写真をはったり、資料を挟んでおくと分かり易さが増します。重要な事は、そのノートの存在・保管場所を誰かに伝えておくという事です。

財産管理で悩むのは金融機関の口座のパスワードの有無を悩むケースもあるようですが、セキュリティー面からは書かないほうが無難だと言われています。ネット銀行、ネット証券は口座の存在自体を本人しか知らないことが多く、書類も郵送されないケースもある為、書いておいたほうが家族は助かります。使っていない金融機関の口座、クレジットカード、不要な保険などは解約し、できる限りシンプルな財産目録にしておくことがお勧めです。また、家や土地などの整理はご自分を含め家族にとっても大事な問題です。不動産は単純に分けることが難しくトラブルになりがちですが、残りの人生を穏やかに過ごすために円満に整理する方法を検討しておくこともエンディングノートに書かれることをお勧めします。

終末期の介護・医療とは、認知症になった場合を想定し、自分が認知できなくなった場合を想定し、どのような対応をしてもらいたいかを記載しておくと良いようです。どこで介護を受けたいか、延命措置は必要かなど、元気なうちは想像しがたい内容です。

死後の願いは、残される家族が仲よく円満に暮らすための生前のメッセージとなります。エンディングノートに法的な効力はありませんが、本人の気持ちは家族に伝わり、家族への想いは残しておくと良いと思います。法的手段として財産分けを記す遺言の作成資料として残ります。交友関係の整理やリスト作成、家族へのメッセージは、考えれば考えるほど書けないので、保留して終活を進めると良いようです。

■終活の中でも、難易度が高いのが「不動産」のこと!

終活の中でも、難易度が高いのが「不動産」です。不動産は価格が変動する可能性が高く、また単純に分けることが難しいからです。「終活」で被相続人が住んでいた自宅を整理する方法が決まっていないまま亡くなると、相続人同士が揉める可能性があります。また、空き家となった場合、建物が劣化し資産価値が下がる一方、不法投棄や不法侵入、手入れを怠ることによりご近所と揉め事が発生する可能性も出てきます。犯罪に巻き込まれる危険性もないとは言えません。生前に「終活」として家などの不動産をどうするのか家族と話し合っておく必要があります。また、話し合いの時間が持てない場合はエンディングノートに記載をしておいて下さい。

「不動産の終活」は相続人が揉めたり空き家になって不動産の扱いに困ったりしないためだけにするのではありません。もちろんそれも重要ですが、家族のためだけではなく、ご自分の残りの人生をより豊かにするために「不動産の終活」を行うべきです。家などの不動産は死後に遺族が整理するのが一般的でしたが、「老後をいかに健やかに暮らすかという人生設計のために整理しておく」という方向もスタンダードになりつつあります。

エンディングノートを活用して、気持ちを整理すれば人生にメリハリを持った生活が出来るようになるようです。新たな人生のスタートが切れる、新年度の空いた時間に自分だけのエンディングノートを作成しても良いのかもしれません。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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