住宅ローン審査では「〇〇」が判断される?!

住宅を購入するときに多くの人が利用する住宅ローンです。その内容は将来の家計に大きく影響し、その計画で人生が豊かなものになったりします。住宅ローンを組む際には必ず金融機関の審査を受ける事となり、住宅ローン審査の結果により金利などの条件や借りられる金額が変わることもあります。住宅ローン審査で重視される項目やより条件を有利にするための方法をお伝えしたいと思います。

■住宅ローンの手続きは可能であれば物件探しの前に行いましょう!

住宅ローンの手続きは可能であれば物件探しの前に行っていただきたいと思います。しかし、現実は住宅購入を決めた直後にスタートする事が多く、スピーディーな対応が求められます。この審査によっては買いかった不動産を買い逃すことにもつながります。

住宅ローンの審査の手順は、まず金融機関や希望の借入額を決め、事前審査を申し込み、通過したら物件の売買契約を結んだ上で本審査に進みます。住宅ローン事前審査の段階では公的な書類は求められない場合が多くあり、審査日程は3営業日程度で結果が出てきます。一方の本審査は売買契約書や住民票、源泉徴収票といった書類提出が必須となります。住宅ローンの本審査結果が出るまで1~2週間かかることとなります。

本審査を通過すれば住宅ローンを契約し物件の引き渡しとなり、無理のない返済計画なら審査で落ちる事はほとんどありません。しかし、住宅ローンの審査を踏まえて適用される金利が変わったり、借入額の引き下げを求められたりすることもありますので、注意が必要です。また、住宅ローンの審査時に適用される審査金利は通常の住宅ローン金利とは異なり、高めに設定される事が多い為、借りられる金額が下がる事も把握しておきましょう。家計のためには審査で不利に働く可能性がある要素はなるべく排除しておく必要があります。

■住宅ローンの審査時に金融機関が重視される項目について

金融機関が審査で見極めたいのは主に申込者が返済できるか、万一返済ができない場合に物件の売却などで融資を回収できるかの2点です。返済できるかは申込者の情報、融資が回収できるかは物件(不動産)の情報をみて判断されるのが一般的です。申込者の情報は年齢や年収、勤続年数など、物件の情報は購入する物件の評価額などとなります。

特に重視される情報は下記の項目となります。住宅金融支援機構が金融機関に対して実施した調査で「本審査で重視度が増していると考えられる項目」を複数回答で聞いた結果となります。最も多かったのは「返済負担率」(70%)、2位は「職種、勤務先、雇用形態」(45%)、3位は「借入比率」(38%)、「借入者の社会属性」(32%)、「預貯金や資産の保有状況」(28%)、「担保となる融資物件の時価」(12%)という結果となります。

返済負担率は収入に占める返済額の比率を指しており、借入予定の住宅ローンとその他の借り入れの返済額を足し、税などを引く前の額面の収入で割って判断されます。年単位などで計算し、比率が高いと返済が難しくなりやすいと判断されますので、その状況を考慮して借入額等が変わってきます。一般的には返済負担率は「35%以下」なら審査に通りやすくなります。収入が多いと4割程度まで許容される場合もありますが、あくまでも人によって異なります。

返済負担率を計算するときに多くの金融機関は、住宅ローン返済額を実際の適用金利ではなく「審査金利」を使って算出しています。足元では変動型で年0.5%未満の金利もありますが、審査金利は年3~4%程度となります。金利が上がっても、返済できるかを判断するためです。その他の借り入れの返済額は申込者の自己申告と、個人の信用情報を扱う専門機関に照会した情報を基に判断されます。自動車ローンやカードローンのほか奨学金やクレジットカードのリボ払い、携帯電話端末などの割賦販売も含まれます。

■住宅ローン審査で有利に働くケースについて

返済負担率は借り手側の努力で改善できる余地が大きくなります。例えば頭金を多くして借入額を抑える、事前に他の借り入れの返済を進めるなどのケースです。申込時に他の借り入れがあっても融資実行までに完済予定なら、申告すれば完済する前提で審査してくれる金融機関もあります。他の借り入れは返済履歴も確認され、返済が遅れた履歴があると不利になるケースもあります。

「借入比率」は担保となる物件価格に対する住宅ローンの借入額の比率を示し、頭金の増額などで数値は改善します。最近は低金利を生かすため、手元に資金を残し頭金を払わない人もいますが、そのような方の場合、預貯金や資産の保有状況などを併せて判断するケースもある為、必ずしも不利となるとは限りません。

「職種や勤務先」は収入の安定性を判断する手掛かりになり、一般に公務員や医師などは有利とされています。以前は転職で勤続年数が短くなるのは不利といわれたが、最近は1年以上たてばほとんど問題はないそうです。転職直後でも雇用契約書や直近の給与明細を確認してくれる金融機関もありますし、キャリアに継続性があるかを重視して判断される金融機関もあります。

金融機関により審査の基準は異なり、同じ人でも金融機関の違いにより、審査の可否や条件が変わることもあり、大手銀行とネット銀行など複数の金融機関に申し込むと、より確実に借入先を確保できる場合があります。

今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

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