不動産仲介会社はなぜ新築を売りたいのか?その1

お茶請け話のはずが、思わぬ展開になってしまいました。
今回は不動産仲介業者が新築を売りたい理由、中古を売りたくない理由について説明します。


前回は新築偏重だった、という話だったね。
今回は不動産仲介業者※の実態を説明するよ。

※不動産業界には様々な役割の事業者がありますが、住宅購入をテーマとすると、物件の売主として販売する事業者、宅建業者ではないものの新築を建築する建築会社、仲介のみを行う仲介会社が挙げられます。この記事はそのうち、仲介会社に焦点を当てています。

早く聞きたいです!

まず初めに、不動産仲介業者は家が余ろうがおかまいなしに新築が売りたい。

こないだの友人の件ですね。

しかし、ここのところ中古に関する情報も出てきているから、仕方なく中古も取り扱わないといけなくなっている。

嫌々なんですか?

嫌々は言い過ぎだけど、あまり得意でないのは事実だ。
そして、中古物件でも売主が宅建業者の物件か、自社に売却依頼があった物件を積極的に勧めてくる。

売主によって物件の善し悪しが変わるんですか?

業者か個人かによる若干の違いはあるけど、買主からすると売主が誰なのかはあまり関係がない。
初めに重要なのが、買主の利益の追求と事業者の利益の追求は合致しないということだ。

モノが売れると業者は儲かるから、売り手と買い手が相反するのは仕方がないことではないのですか?

まあね。
でも情報の高度化が進むにつれて、いわゆる買主がぼったくりで一方的に不利益を被るような状況は少なくなっているだろ?

それはそうですけど。

不動産業界は未だに売主の利益を中心に考える業界と言える。
買主は知らず知らずのうちに不利益な選択を迫られていることだってあるんだよ。
しかも業者は狡猾だから、こういう取引でも違法ではない。

そんなのズルいです。

そうだね。
だから、今の時代に家を買う人は、不動産業者についても勉強する必要があるんだ。
知ってて選ぶのと、知らずに選ばされるのでは天と地ほどの差があるからね。

わかりました。
できるだけわかりやすく説明してください。

一言多いよ(笑)。
はじめに、自ら売主である事業者と不動産仲介業者は違うから、明確に区分して欲しい。

まず不動産仲介業者が新築を売りたい理由は以下の3つだ。
1:収益が多い
2:手離れが良い
3:めんどくさくない

なんか興味深々ですけど、太郎さん大丈夫ですか?
刺されたりしませんか?

割と一般常識だから大丈夫 (笑)。
まず収益についてだけど、不動産仲介会社の主な収益って何かわかる?

仲介手数料ですね!法律で上限が決まってるんでしたっけ。

その通り。
仲介会社が片方の依頼者から受け取れる手数料の上限は、3%+6万円が最大となる。
さてそれではチュースケ君は「両手仲介」って聞いたことはあるかい?

わかりません。

不動産の取引には、売主と買主が存在して、その双方に仲介会社が付く構造となる。
売主には売主側の仲介会社、買主には買主側の仲介会社がそれぞれ担当するというわけだ。

ところが、一つの取引で売主・買主の両方を担当することもできる。
このことを「両手仲介」と呼ぶんだ。

片手仲介の方が買主に不利じゃない気がします。

両手仲介の是非については長くなるから割愛する。
ここで問題なのは、仲介手数料の問題だ。
両手仲介の場合は、売主・買主の双方から手数料を貰うことができるんだ。
一粒で2度おいしい。
だから不動産仲介会社は「両手仲介」をやりたいんだ。

営業効率がいいという訳ですね。

この構造の問題点は、特に買主側の仲介会社が両手を過剰に狙うと、両手仲介ができる物件しか買主に紹介しない、したがらないという状態に陥る

ああ!だから友人が訪ねた不動産会社は新築ばかり勧めたんですね。

新築戸建ての場合は、売主である建築会社や不動産会社(ディベロッパー)が、仲介会社に手数料を支払うから両手仲介が成立する。
仲介会社にとっては「おいしい」物件というわけだ。

自社が売却依頼を受けた物件も同じだ。
他社が買主を連れてきてしまうと、片手になってしまうから、なんとかして両手にしたい。
結果的に買主に届く物件情報が偏ってしまいやすい、という状態なんだ。

両手仲介の是非はともかく、事業の構造として、不動産仲介会社は両手仲介が欲しいというのは理解できると思う。

実際業界誌が毎年大手不動産仲介会社の年間平均売上高とともに手数料の平均を出しているけど、軒並み5%は超えているからね。


長くなったんで一旦ここで切るよ。
それにしても各方面に気を使って文章を書くのは骨が折れるよ。
刺されたくないからね(笑)。

じゃあもっとダイレクトな裏話があるんですか?
聞きたいです!

それはもう山ほど!
でもここでは書けない。。。
相談会に来てくれたら、たっぷりとお話しできるんで、ぜひ足を運んでください。


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